うつ病OL日記

うつになった新卒OLの日記。てきとーに書くのでてきとーに読んでください。

何もかも捨てたくなった夜

まだ定時まですら勤務できていないのに、会社に行って帰ってくるだけでもクタクタで、でも同居している母親はまだ働いているのに何もしないでいるのは心苦しくて母親が帰るまでひたすら家事をして、全ての用事が済んだ後に資格勉強やタイピングの練習をしている。
眠さと疲れとなかなか上達しない苛立ちとで段々頭が痛くなり、なぜここまでして、こんなことをして、なんのために生きていく必要があるんだ?と思った。

そのままのことを、恋人にLINEで送った。
疲れた 人に迷惑をかけたり、自分が傷ついたり疲れたりしてまで生きる意味がわからないと。
すぐに返信が来た。
なんでそんな悲しいことを言うんだと言われた。
悲しませることは申し訳ないと思ってる。それを踏まえてももう疲れてしまったんだと返した。
今度は電話がかかってきた。
私は、全身の水分が全部無くなるんじゃないかという勢いで泣いて泣いて、ろくに喋れず、それでも恋人は私が絞り出した言葉をひとつひとつ拾い上げてくれた。
だけど何を言われても私はもう全てやめるつもりだった。恋人の話もほとんど耳に入っていなかった。
もう少ししたら電話が切れる、そうしたら、みんなが寝ている間に私はこの世界から逃げてしまおうと画策していた。
しばらく沈黙があって、じゃあおやすみ、といって切ろうとしたら、今家の前に来てる、ちょっとでいいから出てきてと言われた。パジャマの上にダウンを羽織って外に出た。俯いたまま助手席に乗り込むと、恋人が「ばかだな」と言って、私の頭をごしごし撫でた。
しばらく車を走らせてから、ようやくまともに言葉が出てきた。
私はいい子でいたかった。クラスでも、親戚の中でも、会社の中でも、一番出来のいい子でいたかった。ぽつぽつと話した。私は何をやっても上手くいかない。何をさせても他の人の方が優れている。価値がある。必要とされている。私はそうじゃない。誰にも求められてもいないのに、こんなに疲れてまで生きる理由がわからない。

恋人は最後まで口も挟まず聞いていた。

何かができなくても、それだけで価値が決まるわけじゃない。今できることを自分なりに一生懸命やっていればそれで十分じゃないか。一生懸命やったんだろ?

私はそれに黙って頷いて、それ以上何も言わなかった。
それから急に物凄く眠たくなって、いつの間にか車の中で眠っていた。
目が覚めると自宅の前まで戻ってきていた。
胸の奥で渦巻いていた黒いものが、いつのまにかなくなっていた。
恋人にお礼を言って車を見送ったあと、久しぶりに深く心地よい眠りについた。



翌日になってから、タイピングの練習方法を改めて調べてみた。すると、私が行っていた練習が間違っていたことが分かったのだ。
上手くいかないのは方法が間違っていたからなのか、と気づいた瞬間、なんだか笑いが込み上げた。
そもそも方法が間違っているのに気づかず、上手くいかないと嘆いて、挙句生きることすら放棄しようとしていたなんて、なんて馬鹿なんだと思った。

その日は会社から帰って、またいつものように家事をしようとして、ふと、別に今これをしなくても、私の価値が下がるわけじゃないじゃないか、と思った。
それから、母親が帰宅して料理をする音で目が覚めるまで、夢も見ずに熟睡していた。
母親は、私のことを責めたりしなかった。ご飯も炊いていないし、お風呂も沸かしていないし、掃除もしていないし、洗濯物も取り込んでいなかったけど、私が起きたら「もうちょっとでごはん炊きあがるよ」と笑っていた。

私は何の価値も持たないかもしれないけれど、生きる意味なんてないのかもしれないけれど、ここにいてごはんを食べて、疲れたら眠って、それでいいんだと思う。今はそう思っている。