無題
道で轢かれた猫の死骸を見た日の夜、嗚咽をシャワーでかき消して泣いた
一応、処理してくれる機関に依頼したので猫はちゃんと葬られたと思う
会社についても、家に帰っても、猫の脳漿が、だらりとした手足が、アスファルトに染み込んだ体液が、まぶたの裏から離れなかった
死にたいと思って、湯船の中で、死に方を検索した
首吊り、飛び降り、薬
全部、失敗したら重度の障害を負うらしい
何をやっても上手くいかない私のことだから、きっと自殺すらも上手くできないだろう
もし失敗して、障害でも負ったら、母親にまた迷惑をかける
どうしたらいいのかわからなくて、湯船のお湯がほぼ水になるまで、ずっと死に方を検索し続けた
泣き疲れて、風呂を出てそのまま寝た
後で気づいたけれど、風呂で寝れば死ぬらしい
睡眠薬を飲んで風呂に入ればいいのだ
それに気づいたら、幾分気が楽になった